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全盲観劇ダイアリー 尾身美詞(おみみのり)さん追っかけレポート2018年夏 オフィスコット ーネセレクション『US/THEM わたしたちと彼ら

オフィスコットーネセレクション『US/THEM わたしたちと彼ら
日程 2018年9月20日(木)~27日(木)
会場 下北沢・小劇場B1
■作:カーリー・ヴェイス
■訳:小田島恒志、小田島則子
■演出:スズキ拓朗(チャイロイプリン) 
■出演:尾身美詞(青年座)、野坂弘

二人芝居があるという情報を知ってから2か月(?)ほど。発表されるまではそわそわ。何と言ってもみのりちゃんが初めて挑戦する夢のような二人芝居!
みのりちゃんのブログでようやく決定のアナウンス!
会場は2月のOn7第4回公演『かさぶた』がおこなわれた下北沢・小劇場B1。キャパシティーは135名なので、みのりちゃんの応募フォームが出来る前に劇団に発売初日に電話。
だって、売り切れるかもしれないじゃないですか。
いずれも2列目中央という席をゲット!初日と千秋楽を行くことに。
内容は2004年に起きたロシア・北オセチアのベスラン第1学校にチェチェン独立を図るテロリスト35名が乱入し、結果、人質334名の犠牲者を出した実話が基になっています。
ニュースで見たのでよく覚えています。ロシアの指揮者のゲルギエフがマリンスキー管でチャイコフスキー交響曲第6番『悲愴』を追悼コンサートをサントリーホールでやっていたのも思い出します。

ここでもう一つ思い出すのは、みのりちゃんが北海道にお仕事で行った時、何かを食べていて、カラスに襲撃された事件!この舞台を予感させる出来事だったりして(笑)

とってもヘヴィーなストーリですが、これが子供の目線から描かれているという。その斬新な視点がこの芝居の最大のポイント!その一点で期待が高まります!

何と、名門のイギリスのナショナル・シアターで上演されているというのだからがぜん期待が高まります。そしてこれが日本初演!みのりちゃん、大役です!
こちらイギリスのナショナル・シアターの画像。みのりちゃん、負けてません!https://www.youtube.com/watch?v=GfJa6-4TVPQ

こちらがオフィスコットーネさんの予告編!
https://www.youtube.com/watch?v=0bezkUSsdRE

1月の『アスファルト・キス』でみせてくれた罵詈雑言を吐き捨てて終わる役柄とは正反対の役柄。
今の映画の仕事が自分でもよく分からないフェイズにいるので、行かれるか不安でした。
仕事は何とか早く切り上げることに成功!初日はかなりの大雨。新宿のディスクユニオンでDVDボックスを売るために駅から往復をするだけで靴がビチャビチャに。短パンだったので足も濡れるくらい。当日券のハケ具合が気になるほど。
下北沢に付いてちょっと時間があったので、目印に なるスーパー大関に寄ってタオルを購入。

みのりちゃんも初日はテンション上がったのか、いつものようにおっちょこちょいキャラを炸裂し、携帯電話を忘れるという出来事も。

会場に入るとピアノ曲が流れていた。ダリウス・ミヨー(たぶん)の曲も流れていてリラックス。それと共に、僕は靴を脱ぎ、タオルで足を拭いて素足で観劇準備。だって、びしょびしょなんですから。

劇場のスタッフより「上演中、煙が出ますのでマスクが必要の方にはお配りします」と。『かさぶた」では砂ぼこりでしたが、今回は煙の演出。マスク繋がりです!

前半はシュールさとコミカルさがミックスされた『踊るよ鳥ト少し短く』。
ストーリーを追うのではなく、シーンシーンをじっくり味わいました。こういう観劇の方法は唐組の方に教わりました。

舞台転換のために10分ほどのインターミッション。夢の舞台の幕が上がると思うとドキドキします(緞帳はないですが・・・

僧侶のようにチリンチリンと鈴を鳴らしながらお相手の野坂さんが客席後方より登場。みのりちゃんは箱を被って登場!これから起こる束縛を意味してるのでしょうか。
セリフは二人でおこなわれるとは予想していたけれど、そっか、舞台も二人しかいないので、動ける範囲と運動量もそれに比例して多くなるのか。
幕が上がると、スキャットのようなセリフを二人のユニゾンで長時間進行!この演出もビックリ!短い稽古ではここまで出来ないと感じます。
北オセチアの小さな町の説明をラップミュージックのように話していく。
テニスコートが8面、病院がいくつとかetc...
その情報からその町の情景が浮かびます。調べるにはかなりの労力がいると思います。
人口は3万人程度ということで小中と育った神奈川県の二宮町と同じ程度なので、なんとなく規模間が似ている。
二人で黒板や床にチョークで学校の見取り図を歌いながらお絵かき♪さらに情景が浮かびます。初日・3日目は分からないけれど、千秋楽は校長先生の似顔絵も。みのりちゃんのはなかなか絵心があります!
丁度こちらが学校の見取り図を書く時の稽古の様子!
https://www.youtube.com/watch?v=Fvbg_m8p0-4

チェチェンまでは120キロと、車で1時間半程度でしょうか。チェチェンの子供は学校に8歳しか行かれない。小児性愛の犠牲になっているという衝撃的な言葉も出ますが「小児性愛って何?」とその卑劣な言葉も知らない無垢さを表現しています。
ナショナルシアターにはなかった人影のような画像の演出とこちらは同じ爆音BGM、凶悪テロリスト35人が学校へ。
爆音BGMがかかる中、みのりちゃんは何かを叫んでいるものの、それは観客にはほとんど聞こえない。私達(Us)の叫びが聞こえないという表現。
人質はバスケットコートほどの体育館に詰め込まれてしまいます。二人は舞台上にワイヤーを張り巡らしていって包囲されるのを表現していきます。

Russia 'failed' in Beslan school massacre - BBC News - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=cntbb1a0Gsc

こちらの画像も凄惨ですuTube
https://www.youtube.com/watch?v=csr9TPGPoxs

人質はセリフの中で1148人とさりげなく説明。来ていないお父さんがトラクターに乗ってスーパーマンのように助けてくれるから大丈夫という無邪気な声を出す。しかしそれは当然のように叶わない。
みのりちゃんは全身を使って表現!踊ったり、倒れたりとこちらが心配になるくらいの身体表現!演出家先生も身体表現を駆使した舞台を創っているということです。
脚本家さんはかなりのリサーチ能力で、爆弾の起爆装置は犯人の1人が乗っていないと爆発するというもの。つまりロシアの特殊部隊が狙撃したら人質全員が殺されるということになるので、その周到さがうかがえます。

みのりちゃんは人質にされ、息を殺すようなブレスを何度も吐き、無邪気だった子供たちにも恐怖感が。『かさぶた』でみせてくれたブレスアートの再現!
セリフで伝えられる人質の数。それはジョジョに少なくなっていく。子供に水を与えたということでテロリストの女性2人が粛清される。

テロリスト1人が何人の人質に銃を向けなくてはいけないか。あるいは貯金のルーブルをテロリストに配った場合どうなるかというのを、黒板に算数の問題を出すという無邪気さ。ただ1ルーブルが日本円に換算すると何円なのか分かりづらいので「1ルーブルじゃ○○も買えないわよね」という説明があった方が良かったのでは。調べるとおおよそ1ルーブル=3円

足が痙攣してきたりと、徐々にすいじゃくしていく二人。
ここで新たなみのりちゃんの挑戦!テロリストの人質解放の要件をハンドマイクを使ってロシア語で語っていく。
チェチェン独立、犯人の釈放。僕は一つだけロシア語が分かった。平和=ミール。なぜかというとソ連の宇宙ステーションの名前だったから。
水も食料も与えられないまま時間だけ経過し、人質は困窮していく。
体育館は気温が上昇するので人質は服を脱いでいく。みのりちゃんもタンクトップと小学生のようなパンツ姿に。
どちらが最初に発砲したか不明ということですが、事件勃発から50時間後に銃撃戦が開始。
犯人の爆弾も爆発し、体育館の天井が落ち、火災が発生。
みのりちゃんは、きりんさんが空に向かっていくと、何か夢か幻想、あるいは死を迎える前の走馬燈のようなものなのか、幻想的なセリフが続きます。
アフタートークでみのりちゃんが「きりんさんは何?」という話題になって、校舎の模様がきりんさんに見えたからではないかと解釈。
僕はシンプルに、束縛されているものが、少しでも空=自由に向かいたいという比喩かなと。
全てが無に帰するように、描かれていた学校の見取り図が消されていく。
死者に対する義援金も任天堂のウィーやiPodに換算する。換算すると、それだけ・・・というのが空しく伝わります。
エンディングは野坂さんが座っている椅子の足の上で、みのりちゃん静かに息絶えます。
自らの姿を天から見るように、タンカで運ばれる姿が全世界に放映されたと喜ぶ。
「でも、こっちの顔の方が美人なのに・・・」と言い、ショパンの『別れの曲』が流れる中、暗転。

犯人を「憎悪」、「妬み」、「怒り」をすることすら知らない純真無垢な私達(Us)の無邪気さが、アイロニーの中で悲壮感を呼び起します。
絶対悪と言ってもいいテロリストと「/」で分かれているように、相いれないものがそこには確かにあるのだけれど、子供の目線だと、純真無垢さで残虐な行為をされたにも関わらず、テロリストにさえ慈悲を与える少女。何かを悟ったようにも映ります。天上に消えゆくようなセリフと演技は心を打ちます!

演出家のスズキ拓朗さんのコメントが興味深いです
「私たちと彼ら、あるいは彼らと私たちが、同じなんだという共通項を見つける希望よりも、違うんだということを少しずつ知る努力のほうが、いささか自分には前向きに思えます」(プログラムより)

いろいろみのりちゃんの舞台を観てきましたが、非常に意欲的で演技も抜群!夢のような1時間だったので、ついアフタートークがある3日目と予定していた千秋楽にも行くくことに!
考えてみれば、舞台、音楽を含めて、3回観たというのは初体験!(リハ+本番は除く)
11ステージのうちたった3ステージご一緒しただけですが、何か一緒に走っているような感覚をおぼえました!


千秋楽を終えて、ハイタッチでご面会!いつにも増して解放感に満ちた笑顔を向けてくれました!

うちの母親を千秋楽に誘うと、役柄もあると思いますが「かわいい、かわいい」と孫をみるような感じでした。
果たして次は何をやってくれるでしょう。秋と冬が楽しみです!

尾身 美詞さんプロフィール
5月30日 生まれ 東京都出身 血液型O型
劇団青年座所属 新劇女優ユニットOn7に参加
数多くの舞台の他にもテレビ・ラジオ出演 映画『この世界の片隅に』に径子役で出演

尾身美詞オフィシャルブログ「おみみのりのみのりある日々」Powered by Ameba ファンクラブメンバーも募集中♪

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